〝学歴厨のFラン大学生〟が【たらい回し人生相談】にやってきた(前編)
【たらい回し人生相談】〜ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く〜 連載第1回
【K君の恋愛模様】
お見合いの顛末:
大司教:結局前回のお見合い(前回の記事)の顛末はどういうことになったんですか。女性に会いに行ったのですよね。
K君:えー、金の鎖を持って会いに行ったんですけど。
大司教:金の鎖?
K君:なんかそういうのを渡す風習があるみたいです。で、渡したんですけど。
大司教:いきなり渡したの?
K君:いやなんか、30分ぐらい話して、話がひと通り落ち着いてから渡しました。で、結婚してくださいって言ったんですが「ちょっと……」って。
大司教:シンプルだなあ。
K君:向こうの親御さんもなんか反対だったそうです。僕のツイート(注8)とか見て。
大司教:それは反対されるだろうなあ。
K君:はじめは僕のツイートを見てもべつにって感じだったらしいですが、会って何かが加速したのかもしれません。
大司教:たんに悪印象だっただけでは?
K君:へんな話とかしてないんですけどね。
大司教:さあ。君が変な話以外をしているのを見たことがないので……。お互い自己紹介はしたのですか?
K君:してないですね。
大司教:してない?! 30分も何を話したの?
K君:いや話してたのは紹介してくれた人と向こうの親御さんですから。
大司教:それでいきなり求婚したらだめでしょ。
――いちおう、事前のやりとりで結婚の話をしたときは向こうのお母さんも乗り気だったようですが、会ったらなんか違うなーって感じだったみたいですね。
一同:ワハハハ
大司教:まあ大変でしたねえ。
K君:そのあと別のお見合いがありましたが、それもまあなんかちょっと。
大司教:大変だなあ。
✳︎校正付記 中田先生による補足:金の鎖は婚資として私があげたものです。会いに行く時点で私もK君にうんざりしていて、相手方の印象も悪かったのですが、結婚を勧めた責任上、会ってみて印象が良くなるという可能性に賭ける機会は与えてやるべきだと思って、そうしたのです。
K君の好きな人:
――そういえば、好きな人がいるとかいう話はなんだったんですか?
K君:ああ。好きな人がいるんですよ。
大司教:すごい。
K君:ああ、でも……。
――終わったんですか?
K君:いや。終わったわけじゃないですけど。俺なんかとは、たぶん。結婚はできないだろうなって感じですね。
大司教:好きな人ってだれなんですか、それ?
K君:女性ですね。
大司教:ああ、ええと……。男性ではないんですね。わかりました。何があったか訊いていいですか。
K君:何もないんですけど急に好きになったんです。
大司教:………………え?(注9)
(沈黙)
大司教:最後に会ったのはいつですか?
K君:いや一回も会ったことないですね。
大司教:……逆に言うとその人の何を知ってるんですか?
K君:SNSでつながったということですね。
大司教:え? ああ、インターネット上の相手のアカウントを見て好意をもったと。
K君:そうですね。
大司教:いったい何が好きなんですか?
K君:そう言われても……好きとしか言いようがない。
大司教:へー。すごい。一見まともそうなことを言っているが……。
――イマドキって感じですね。
大司教:そうなんだ。その人の日常の様子とかが流れてくるわけ?
K君:日常って言うか、感想ですね。日々の感想とか、気持ちが流れてきます。
――外見は知ってるんですか?
K君:少し知ってます。
――何か関係を進展させていこうみたいなのはあるんですか?
K君:いやー難しいですね。
「愛がわからない男」VS「感謝がわからない男」:
恋愛の話題が一段落したところで、大司教はぽつりと言った。
大司教:自分の回りは異常な人間ばかりなんですが、たまに思うんですよね。こいつらでさえ人を愛する心は持ってるのに、自分はそういうのがわからない。K君のほうが人間的なのかな? 人を愛するってどういうことか分からない。
K君:自分は感謝ってことがどういうことかわからないです。中田先生から本をもらったときも嬉しいって気持ちはあっても感謝とかそういう気持ちは起きなかったです。
大司教:君が感謝という感情を識別してないだけでは?
K君:そうかもしれないですけど。
大司教:傲慢という罪を背負っているという(宗教的な)主張かな。
(愛を知らない男と感謝を知らない男、この話を大司教はこうまとめた)
大司教:まあ俺は神しか愛するものはないんだよね。そういうことにしておきましょうか・・・。
✳︎校正付記 大司教による補足:自分にも人を愛する心ぐらいある。大道寺知世以外に抱いたことはないだけで。
✳︎校正付記 筆者による補足:当記事ではインタビュー記事としてはやや例外的な構成をとることにした。通常はインタビュー記事では筆者は黒子としてふるまうが、ここではあえてコメントさせていただく。そのほか関係者のコメントなども挿入予定だ。多少乱れてもその方がライブ感が出てふさわしいと判断した。 以下筆者の愚痴。当記事は大変疲れる仕事だった。 理由はふたつある。第一に、インタビューの話題が二転三転して要領を得ない。流れどおりに書き起こすと意味不明に近い。第二に、Kくんは滑舌が非常に悪く頻繁にオンドゥル語(注10)になり、一方の大司教はキレているので。聞いていて疲れる。勘弁してくれ。
注8:K君はツイッターをやめるようにアドバイスされていた。やめられなかったようだ。 注9:録音からでも場の空気が変わったことがわかる。 注10:ネット用語。聞き取りづらく別言語のように聞こえるものを指す。昔のギリシア人は異民族をバルバロイと呼んでいたが、異言語がバルバル聞こえたからだという。それの現代版。
<後編につづく> ※1月8日(日)18時配信予定
文:ミスター発達
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